食品添加物「キャリーオーバー」表示の判断例
食品添加物は、使用したもの全てを表記することが原則ですが、添加物の表示が省略出来る例外ケースが規定されています。
・栄養強化の目的で使用されるもの(特別用途食品及び機能性表示食品を除く。)
・加工助剤(ex.豆腐の消泡剤)
・キャリーオーバー
今回はその中でも「キャリーオーバー」の規定に関する話です。
「キャリーオーバー」とは?
(1)食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、
(2)当該食品の製造又は加工の過程において使用されず、
(3)当該食品中には、当該添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの
が「キャリーオーバー」に該当し、添加物の表記が免除されます。
例えば、
原材料名/小麦粉、砂糖、マーガリン、卵、食塩 |
というクッキーがあった場合、
(1)原材料の「マーガリン」を製造する際に使用された添加物(ex.乳化剤等)は、
(2)クッキーの製造自体には使用されておらず、かつ
(3)最終製品のクッキー自体には効果を及ぼさない
ため、キャリーオーバーに該当し添加物としての表記が不要になる、といった感じです。
すなわちキャリーオーバーに該当し、添加物の表記が必要か否かの判断は、上記(3)の最終製品にも影響を及ぼすかがポイントとなります。(量的な基準は特段定められていないようです。)
判断例
<例1>(⇒必要)
着色料(クチナシ)を含むメロンソースを使用したメロンアイス
→メロンアイスを使用したことによりメロンアイスに色が付く
=着色料が最終製品(メロンアイス)に影響を及ぼす
⇒キャリーオーバーに該当せず、添加物の表記が必要
<例2>(⇒不要)
保存料(安息香酸Na)を含むしょうゆで味付けをした煎餅
→保存料によってしょうゆは腐らなくても、煎餅そのものは腐る
=保存料は最終製品(煎餅)に影響を及ぼさない
⇒キャリーオーバーに該当し、添加物の表記は不要
<例3>(⇒必要)
発色剤(亜硝酸Na)を使用したハムを入れたポテトサラダ
→ハムはまだ原型を留めており、その色がポテトサラダにも現れる
=発色剤の効果が最終製品(ポテトサラダ)にも影響を及ぼす
⇒キャリーオーバーに該当せず、添加物の表記が必要
-----------------------↓参考URL↓
東京都保健福祉局「食品衛生の窓」
-----------------------↓参考書籍↓
一般社団法人食品表示検定協会, 「[改訂5版]食品表示検定認定テキスト・中級」, ダイヤモンド社, 2017
https://www.amazon.co.jp/改訂5版-食品表示検定認定テキスト・中級-一般社団法人食品表示検定協会/dp/4478090513
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